NOBのArduino日記!

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趣味は車・バイク・自転車・ラジコン・電子工作です。

電気二重層コンデンサーの使い方(HP-2R7-J106UY)

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電気二重層コンデンサー「HP-2R7-J106UY」
 

  前から興味の有った電気二重層コンデンサーを使ってみました!
  LED1個位なら十分電源として使えます!

1. 電気二重層コンデンサーとは

 電気二重層コンデンサー(でんきにじゅうそうコンデンサー、Electric double-layer capacitor、EDLC)は、電気二重層という物理現象を利用することで蓄電量が著しく高められたコンデンサーです。
 英語を訳すと電気二重層キャパシタですが、「キャパシタ」とはリーク電流も直列抵抗も無い理想的なコンデンサの事を言います。
 その為、正確には電気二重層コンデンサーと言いますが、他にもウルトラ・キャパシタ(Ultracapacitor)やスーパー・キャパシタ(Supercapacitor)とも呼ばれています。


1.1 電気二重層コンデンサーの構造
 今回使用する電気二重層コンデンサー「HP-2R7-J106UY」の仕様を表1に、構造をTINKERCADを使って模式図にしたものを図1に示します。
 電気二重層キャパシタは、電極(アルミ箔上に活性炭を塗布したもの)と、セパレータ(正負の電極の接触を防止し電解液を含侵させたもの)を重ね合わせる事で構成されています。
表1:HP-2R7-J106UY
項目 内容
 容量(F)  10
 容量誤差(%)  -20~+80
 耐圧(V)  2.7
 最大等価直列抵抗(mΩ)  25(@1kHz)
 動作温度範囲(℃)  -40~70℃
 直径(mm)  13
 高さ(mm)  34
 ピン間隔(mm)  5
 
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図1:電気二重層コンデンサー(HP-2R7-J106UY)の寸法及び内部構造

1.2 電気二重層とは
 電気二重層とは、活性炭粉と電解液が接する界面に形成されます。
 電気二重層コンデンサーを充電すると、アノード側ではマイナスイオンと空孔が、カソード側ではプラスイオンと電子が界面を挟んで配列します。
 このイオンと電子(空孔)が配列した状態を電気二重層と呼びます。
 電気二重層コンデンサ電池のような化学反応を伴っていない為、充放電サイクル寿命に優れています。

2. 実験回路

 実際に電気二重層コンデンサー(HP-2R7-J106UY)をバッテリー代わりにしてLED(OS5OAA5111A)を点灯してみました!
 
2.1 接続
 電気二重層コンデンサLED の接続図をFritzingを使って図2の様に書いてみました。 また図2の通り実際に繋げた状態を図3に示します。
 充電用の電流制限抵抗としてセメント抵抗(1Ω、3W)を、LED用の電流制限抵抗として定電流ダイオード(E-153,15mA)を使いました。
 
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図2:電気二重層コンデンサーとLEDの接続図
 
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図3:実際に繋げた状態
※既に充電した後なのでLEDが光ってます
 
 
2.2 充電電圧
 今回使用するLEDの順方向電圧(VF)は2.1Vですので、電気二重層コンデンサー1つを耐圧の2.7V迄充電したとしても、0.6V電圧降下(22.2%)しただけで殆ど光らなくなってしまいます。
 その為、図2では電気二重層コンデンサー4個を直列に繋ぎ耐圧を10.8Vまで上げ、定電流ダイオードでLEDに15mA供給する様にしました
 実際は余裕を見て10Vで充電しましたので、7.9Vの電圧降下(79%)するまでLEDを点灯し続ける事が出来ます。


2.3 充電電流
 電気二重層コンデンサーは内部抵抗が低く(25mΩ)、また化学反応を伴わないので短時間で充電する事が出来ます。
 出来れば電源直付けで瞬間的に充電したいのですが、それをやると充電中は殆ど短絡に近い電流が流れるので電源が壊れるか、通電経路自体にも抵抗が有る事から何処かの配線が焼き切れそうです
 取り敢えず電源(10V,10A)は壊したくないので充電電流を10A程度に制限する抵抗として1Ωのセメント抵抗を付けました。
 ※今回使用した3W,1Ωのセメント抵抗には充電開始直後、瞬間的に100Wの負荷が掛かります。今回の実験では一瞬ですが、長時間この状態が続くと発火・火災になる恐れが有り大変危険です。安全に充電される場合はメタルクラッド抵抗(10Ω,10W)等の容量の大きい抵抗を使用される事をお勧めします。

3. 実験!

 図3で作った回路に10Vを接続して充電した様子が図4です。
 充電開始3秒位で10V(フル充電)に達しました!
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図4:充電!
 
3.1 充電速度
 Ni-HMバッテリーは最大1C充電(容量に関係無く1時間掛けて充電)が推奨されており、Li-Feバッテリーは最大2C充電(0.5時間掛けて充電)が推奨されています。
 それに比べると今回の電気二重層コンデンサーは1200C充電(0.00083時間掛けて充電)相当と桁違いの高速充電です。
 が、実際にマツダアテンザで使われている電気二重層コンデンサーはブレーキ時に25kJを7秒(3.57kJ/s=3.57kW)で充電しているので、514C充電(0.00194時間掛けて充電)です。
 今回、10V電源の最大電流10Aに合わせて1Ω抵抗を使用し充電しましたが、もう少し高い3~10Ω位の抵抗で充電しても良かったのではないかと思いました。
 理想的には定電流電源で500C充電ぐらいが良さそうですが・・・

4. まとめ

 電気二重層コンデンサーの出力電圧は、容量に比例して低下して行くと言う所が使い難いのですが、その辺は電源回路設計でがんばればなんとかなりそうです。
 電気二重層コンデンサ(HP-2R7-J106UY)(2.7V、10F、Φ13×34mm)の容積1L当たりの充電容量を計算すると2.24Wh/Lです。
 Ni-MH電池で有名な単3エネループ(1.2V、2000mAh、Φ14×50mm)の容積1L辺り充電容量312Wh/Lには遠く及びませんが急速充電出来るのはやはり魅力的です!
 体積当りの電力量が現状の100倍程度に増えてくれれば、出掛ける前に携帯電話を5秒で充電!なんて使い方もあり得るのでは無いでしょうか!
 
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