今作っているクリスマスツリー・イルミネーションに使うフルカラーシリアルLEDテープ(4m,5V)の最大消費電流は0.053A/1LED x 240LED/4m = 12.72A/4mとかなりの電流が流れます。
先日トイラジコンのLED配線に使用した導体部断面積0.08sq(mm2)だと流せる電流はせいぜい1A位でこの電線に12A流すと絶縁被覆がこんがり焼けそうです
電線・ケーブルを勉強する良い機会なので色々調べてみました!
1. 電線とケーブルの構造
電気回路で使う配線には主に「絶縁電線」と「ケーブル」が有ります。
その構造と安全性から、「絶縁電線」を使用するのは人の手が殆ど触れる事の無い配管や機器内で、「ケーブル」は人の手が触れる可能性が高い露出配線に使います。
絶縁電線:図1右に示すように、導体を絶縁体で被覆した電線で、一般的にシース(外被)の無いものです。
ケーブル:図1左に示すように、線心(導体に絶縁を施した一本一本の絶縁電線)の上にシース(保護外被覆)を施した電線です。
※線心数とはシース内に通った絶縁電線の本数の事で、図1左ケーブルの場合線心数は「3本」です。
図1:ケーブルと絶縁電線の断面模式図
2. 電気用軟銅線の抵抗
2.1 電線の抵抗
電線の導体部に良く使われる「電気用軟銅線」の電気特性ついての詳細が日本工業規格(JIS C3102-1984 付表)に載ってました。
この付表より、電気用軟銅線の断面積と電気抵抗の関係について図1の通りグラフ化してみました。
図2:電気用軟銅線の導体部断面積と単位長さ辺り電気抵抗の関係
2.2 導体の断面積と発熱
図2グラフから得られた累乗近似式より、軟銅線の断面積と電気抵抗の間には以下の関係が有る事が分かります。
電気抵抗(Ω/km) = 17.26×{1÷軟銅線の断面積(mm2)}
この式より、単位長さあたりの電気抵抗は軟銅線の断面積に反比例して減少します。
つまり電線は「細く」なれば単位長さあたりの電気抵抗は増大するので、同じ電流が流れた場合「太い」電線に比べ「細い」電線は単位長さあたりの発熱量が増大します。
結果として、「細い」電線に過大な電流を流すと発熱し、電線自身の冷却能力を大きく超える発熱が続くと最終的には絶縁被覆の耐熱温度を超え溶解したり、ひどい場合は発火に至ります。
3. 電線・ケーブルの許容電流
電気事故を防ぐため電線は絶縁被覆が損傷しない最大電流以下で使用する必要があります。その為電線ごとに「許容電流」と言うものがの規定されています。
3.1 電線別許容電流
参考に私の独断と偏見で選んだビニル平形コード(VFF)・ビニルキャブタイヤ丸形コード(VCTF)・600Vビニル絶縁電線(IV,KIV)・600V二種ビニル絶縁電線(HIV)について、導体断面積と許容電流についての一覧を図3に示します。
電線・ケーブルには他にも山程種類があります
※基底温度30℃
図3:電線(VFF,VCTF,IV,KIV,HIV)別、導体断面積と許容電流
3.2 線心数と許容電流
許容電流は大まかに導体の断面積に比例して増加しますが、あまりに電線(線心数)が多く密着している状態だと放熱性能が低下し、結果として線心数の多いケーブルになる程許容電流値は低下します。
参考に導体の断面積別、線心数と許容電流の関係についてグラフ化したものを図4に示します。
図4:断面積別線心数と許容電流
3.3 電線の選定
図4より、許容電流は周囲の環境によって変動する事が分かります。
電線の使用環境が高温気体中であったり、低温液体中であったり、土中の様な固体中であったりする事でも放熱性能は大きく変わります。
電子工作で電線を選定する場合は電線の公称許容電流値だけでなく、使用環境も考慮する必要が有りそうです。
4. まとめ
と言う事で、クリスマスツリー・イルミネーションのフルカラーシリアルLEDテープに使う電源線には(ビニル平型コード VFF 1.25sq)を3m購入しました!
励みになりますのでよければクリック下さい(^o^)/