SANWA(三和電気計器) デジタルテスター CD732
今更ですがテスターの使い方をおさらいしたいと思います。
1. テスターとは
テスターとは、マルチメーター(multimeter、回路試験器)の通称です。
導体中を電気がどれ位の量流れているかは残念ながら人の目には見えないので、これら測定器を用いて人が理解できる数値(電圧・電流・抵抗等)に可視化する必要があり使用されます。
電子工作の必需品!これが無くては始まりません!
1.1 外観
テスターと一口に言っても沢山の種類が売られています。単純に電圧と抵抗を測るだけであれば千円位で、pA(10のマイナス12乗アンペア)単位で電流を測定出来る物等は数十万円します。
図1:テスター(CD732)
1.2 機能(性能)
テスターの機能(性能)とお値段は大体比例します。
初めは千円位のテスターを使って慣れ、その内限界を感じて来てからその目的に合った機能(性能)のテスターを買うのが良いかと思います。
私の場合は2000μFのコンデンサ容量を測りたかったので(誤って回路に100Vが掛かってしまい2000μFのコンデンサが生きているのか確認の為)、4000μFまで測定出来るsanwa製テスター(CD732)にしました。
図2:sanwa製テスター(CD732)の各種機能
機能 | 性能 |
直流電圧 | 600m/6/60/600/1000V(最高確度±(0.5%+2)) |
交流電圧 | 6/60/600/750V(最高確度±(1.2%+5)) |
直流電流 | 600μ/6000μ/60m/600m/6/15A(最高確度±(1.5%+3)) |
交流電流 | 600μ/6000μ/60m/600m/6/15A(最高確度±(1.8%+5)) |
抵抗 | 600/6k/60k/600k/6M/60M(最高確度±(1.2%+4)) |
コンデンサ容量 | 40n/400n/4μ/400μ/4000μ(最高確度±(5.0%+6)) |
周波数 | 9.999/99.99/999.9/9.999k/99.99k(最高確度±(0.5%+3)) |
※一万円を切る価格帯でコンデンサ容量4000μFが測れるテスターは私の探した限りこれだけでした!
2. ヒューズ交換
2.1 電流測定の注意点!
電流測定を誤るとテスターに内蔵されているヒューズが切れます!
CD732の場合、測定する電流の大きさ別に3つのモードが用意されており、基本的には大きい電流が測定できるモードから順に小さい電流が測定できるモードに変えていきます。※専用のセラミックヒューズを使います。
図3:左から最大6000μA、600mA、15A(接続先が違う!)の電流が測れるモード
2.1 分解
図3の電圧から配線を繋ぎ変えずにそのまま電流が測定できる600mA以下のモードは、簡単に切り替えが出来るので使用する場合は特に注意が必要です。
600mA以下の電流測定モードで、乾電池一本の電圧(1.5V)でも両端に触れてしまうと1,350円のヒューズが切れてしまいます
なるべくヒューズを切らずに作業したいものですが、切れてしまったら図4の様に分解して図5の様にヒューズを交換します。
図4:テスター(CD732)の分解
図5:400mA、1000V、32mmのヒューズ交換(ヒューズ高っ!)
3. アダプター
標準で付いてくる図6のテストリードだけでも測定は行えますが図7,8の様なアダプターも売られており、これらを使うことで快適に測定が可能になります。
3.1 テストリード
テスターの基本はテストリードを両手に持っての測定です。両手が塞がってしまうのと接触が甘いのが欠点です。
図6:テストリード使用例
3.2 IC用テストリード
細い線があればどこでも摘まめるので一番使い勝手の良いテストリードです。
ブレッドボードを使う場合は重宝します!
テスターを電圧測定モードにし、図9の様に単三電池のプラスとマイナスにテスターを接触させると単三電池から出力される電源電圧(1.338V)が測定できました。
図9:単三電池の電圧
4.2 回路の測る位置と電圧
今回10kΩの抵抗2つを通ってマイナスに戻る回路にしていますので1つ目の抵抗前後の電圧と、2つ目の抵抗前後の電圧を合計した値が乾電池の電源電圧になります。
これをキルヒホッフの電圧則と言います。
抵抗左の電圧降下0.671V+抵抗右の電圧降下0.666V=回路全体の電圧降下1.337V
電流を測定する場合はテスターの接続方法が電圧の測定方法とは根本的に異なりますので注意が必要です。
接続は電流を測りたい場所(回路)に、テスターを割り込ませます。
図11の様に回路出口に割り込ませると オームの法則より、電源電圧(1.337V)÷抵抗(20kΩ)=電流(66.85μA)と同程度の(67.6μA)が流れている事が分かりました。
図12の様に回路中間に割り込ませるとオームの法則より、電源電圧(1.337V)÷抵抗(10kΩ)=電流(133.7μA)と同程度の(134.3μA)が流れている事が分かりました。
図11:回路の出口にテスターを割り込む
※図11右(電流):電流測定モードにするとテスター内部の抵抗が回路に影響が無い程度に小さくなり電圧測定モードでせき止められていた電流が一気に流れます。※電流測定モードの測定可能上限電流を超えると即ヒューズが切れます!
図12:回路の中間にテスターを割り込む
5. まとめ
電流はオームの法則より式①の様に求める事が出来ます。
電流(A)=電圧(V)÷抵抗(Ω)・・・式①
つまり電圧と抵抗が分かれば流れている電流は計算で求める事が出来るので、お高いヒューズが切れるリスクを冒してまで電流測定モードを使う必要はあまり無いと(痛い目見たので)思いました