コイルはインダクタやチョークとも言われますが、使い方は交流回路の抵抗・もしくは磁界にエネルギーを溜める性質がある事から昇圧回路にも利用されています(昇圧回路はなかなか興味深い構造をしていますが後日ブログにアップしたいと思います。)。抵抗として考えるときはほぼオームの法則と同じです。iCircuitを使って簡単な回路図を書きました。
1.コイルのインダクタンスと電流
コイルを貫通する磁束密度をΦ、コイルを流れる電流をIとした時以下の式が成り立つ。この時L比例定数はインダクタンスと呼び交流回路における抵抗です。
磁束密度(Φ)=インダクタンスL(H) × 電流I(A)・・・①式
コイルの中身はその名の通りコイル(導線が巻いてある)だけであり、直流の場合はほとんど影響の無いただの導線です。ですが電流の流れに時間的な変化(交流等)が生じると電流を妨げる抵抗が生じます。抵抗の原因となっているのが逆起電力(vr)で以下の式であらわせます。
②式からわかる通り、直流のような電流変化の無い状態では、電流の時間的な傾きはゼロとなり、いくら大きなインダクタンスのコイルを使っても逆起電力はゼロとなります。
②式インダクタンスの前にマイナスが付いていますがコイルに印加された電圧の逆方向に発生するという意味です。また印加電圧と逆起電力は釣り合うように発生しますので、コイルに掛かる電圧vは、
電圧v(V)=インダクタンスL(H) × 電流I(A)を時間で微分した傾き・・・③式
試しに5V交流電源に1、10、100Hのコイルを繋いでみると図1の様にインダクタンスが小さい方がいっぱい電気がながれます。(電流が増える)
図1:交流回路のコイルの抵抗
図1右の波形の下にP-Pと言う項目があります。これは交流電源により時間的に変動する電流(I)と、電圧(Vd)の変動幅を示したものです。1Hのコイルを使った上段の回路では1.59Aの電流変化がありますが、10Hのコイルを使った中段の回路では159mA、100Hのコイルを使った下段の回路では15.9mAと、インダクタンスL(H)が10倍になると流れる電流は1/10に減少します。
2.直列接続の合成インダクタンス
コイルをまっすぐくっ付けたら、ある意味一つと言うことです。
電圧v(V)=インダクタンス{L1+L2}(H) × 電流I(A)を時間で微分した傾き・・・④式
3.並列接続の合成インダクタンス
直列と来たら?そう並列です?
ややこしい事は心に余裕がある時に勉強するとして、計算式だけこんな感じだったなと覚えておくと便利です。
単純なイメージとしては、片側1車線より片側2車線の道路の方が流れが良いじゃんと言う感じです。
電圧v(V)=インダクタンス{(L1×L2)÷(L1+L2)}(H)×電流I(A)時間微分・・・⑤式
インダクタンスL(H)=インダクタンス{(L1×L2)÷(L1+L2)}・・・⑥式
つまり、並列接続のインダクタンスは⑥式によりコイル一つとみなせます。
図3:並列接続の合成インダクタンス
⑥式より、図3上並列回路のコイルを一つのコイルとして計算すると
{(8H×2H)÷(8H+2H)}=1.6H
となりました。
8Hと2Hの並列インダクタンスは1.6Hの直列コイルとみなせるので、図3下の様に回路を直列コイルに直すと、並列コイルと同様に994.67mA電流変化がありました。
コイルの定格電力に余裕がない時には、⑥式で計算してコイルを二本に分ける事でクリア出来そうです。
4.分圧回路
何と抵抗と同じ様にコイルの分圧回路dも電圧を落とす事が出来ます。
※トランスでもっと効率的に出来ますのでこの回路を使うことはないでしょう。
図4:分圧回路
ふーんと言う暖かい目で見てください。
上段の回路では、10VがP-P6.67Vに降圧し、下段の様に分圧後の回路に多めに電流が流れると電圧はさらにP-P4V迄降下しました。
5.まとめ
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