NOBのArduino日記!

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趣味は車・バイク・自転車・ラジコン・電子工作です。

5V電源評価用抵抗切替機の作製

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図1:5V電源評価用抵抗切替機

Arduino等の電子工作をしていると5V電源を使うことが多く、ACDCコンバータやDCDCコンバータが実際にどの程度の出力W数が有るのか確認したい事がちょくちょく有ります。
その際には適当な抵抗を何種類か使用して、つなぎ変えながら出力電圧を確認し、電圧降下が10%程度(5Vなら4.5V切ったあたり)がその電源の能力かなとみています。
しかし、出力電圧と使用する抵抗値から流れる電流を計算してそこからワット数を計算して、同じ抵抗でもワット数の合うものをチョイスしながら電圧降下が起こるまで繰り返すのはなかなか大変です。
そこで今回は、5V電源に絞って事前に抵抗に合うワット数を計算しておき、それをスイッチを切り替えるだけで連続して出力電圧を確認出来るようにユニバーサル基盤に回路を組んでみました。

 

        1.材料

1.1 抵抗の種類
まず初めに使用する抵抗ですが、W数別に以下の抵抗が入手性が良いのでそこから選ぶことにしました。

 

表1:各種抵抗と許容電力及び電流
ワット数(P) 使用電圧(V) 最大電流(I=P/V) 種類
1/8W 5V 25mA カーボン抵抗
1/4W 5V 50mA 金属皮膜抵抗
1/2W 5V 100mA 金属皮膜抵抗
1W 5V 200mA 金属皮膜抵抗
2W 5V 400mA 金属皮膜抵抗
3W 5V 600mA 金属皮膜抵抗
5W 5V 1000mA セメント抵抗

1.2 電力と電圧から抵抗を計算
表1の最大電流の範囲25~1000mAであれば丁度私の使いそうな各種5V電源の供給電流に収まりそうですので、この7種の抵抗を使うことにします。
電圧とワット数は分かっているのでそこから抵抗を求める計算式にすると、
P:電力(W)、V:電圧(V)、I電流(A)、R抵抗(Ω)
P=V・I
I=P/V・・・①式
R=V/I・・・②式
②式に①式を代入
R=V/(P/V)
R=V^2/P・・・③式

 

1.3 使用する市販の抵抗
③式より、使用したい電圧の二乗割るワット数で抵抗が求まり、市販されている抵抗の中から計算した抵抗に近い物を探した結果が表2です。

 

表2:購入抵抗の選択
ワット数(P) 使用電圧(V) 抵抗(R=V^2/P) 市販の抵抗
1/8W 5V 200Ω 1/4W220Ωカーボン抵抗
1/4W 5V 100Ω 1/4W100Ω金属皮膜抵抗
1/2W 5V 50Ω 1/2W50Ω金属皮膜抵抗
1W 5V 25Ω 1W27Ω金属皮膜抵抗
2W 5V 12.5Ω 2W13Ω金属皮膜抵抗
3W 5V 8.33Ω 3W8.2Ω金属皮膜抵抗
5W 5V 5W5Ωセメント抵抗
※3W抵抗のみ、大した事は無いと思い計算値(8.33Ω)より低めの抵抗(8.2Ω)を選択しましたが、作った後で発熱が大きく、次の9.1Ωにしておけばと後悔しました・・・。

 

1.4 使用する市販のスイッチ
またスイッチにより抵抗の切り替えを出来るようにする為、丁度良さそうなスイッチを探した所、1回路2接点で定格50V0.5Aのスライドスイッチ(SS-12E01G3)を見つけました。
今回使用する最大5W程度であれば大丈夫そうです、とりあえずこのスイッチ(57円)を8個購入しました。
が別の日に店頭で何気なくスイッチを見た所1回路7接点で定格50V0.5Aのスライドスイッチ(SS-17E01)が1個57円で売られていました。
まさに今回私が作りたい物の為に有るようなスイッチでした。すでに購入したスイッチ8個の若干無駄をした感じは忘れておもむろに2個購入。
※近くにあった1回路6接点スライドスイッチ(SS-16F04)は一般的な2.56mmピッチユニバーサル基盤に刺さらないのでご注意!(引っ掛かりそうになりました)

 

1.5 購入品一覧
と言う事で購入品は表3の通りです。

 

表3:購入品一覧
部品名 必要数 購入先 単価 費用
ユニバーサル基板(LUPCB-7247S) 1枚 マルツ 102円/枚 102円
5W5Ωセメント抵抗 1本 マルツ 80円/本 80円
3W8.2Ω金属皮膜抵抗 1本 マルツ 40円/本 40円
2W13Ω金属皮膜抵抗 1本 マルツ 30円/本 30円
1W27Ω金属皮膜抵抗 1本 マルツ 20円/本 20円
1/2W50Ω金属皮膜抵抗 1本 マルツ 30円/本 30円
1/4W100Ω金属皮膜抵抗 1本 マルツ 20円/本 20円
1/4W220Ωカーボン抵抗 1本 マルツ 270円/100本 3円
スライドスイッチ(SS-17E01) 1個 マルツ 57円/個 57円
スライドスイッチ(SS-12E01G3) 1個 マルツ 57円/個 57円
樹脂スペーサー(MAE-5T) 4個 マルツ 250円/10個 100円
ピンヘッダー【2130S1*40GSE】 3本 マルツ 70円/40ピン 5円
ピンソケット【SSA-132-S-T】 6本 マルツ 225円/32ピン 42円
合計 586円
※その他ニッパー・ラジオペンチ・半田ごて・はんだ・はんだ吸取機(線)・線材が必要です。

 

        2.回路図

fritzingを用いて作った回路図です。

 

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図2:表面

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図3:裏面

        3.作製

3.1 ユニバーサル基盤へのマーキング
ユニバーサル基盤の部品を取り付ける位置に、マジックで図4の様にマーキングをします。
このマーキングの位置に各部品を半田付けしたものが図5(表面)です。
※VCCとGNDのピンソケットは強引に90°に折り曲げ寝かせました。折り曲げ部分に5Wも流れると危険な感じなので半田で盛っておきます。
※またスライドスイッチ(SS-17E01)は四隅にボディー固定用のピンが4本出ておりますが、ピンの幅が1.1mmとユニバーサル基盤の穴径φ1.0mmよりも大きい為そのままだと基板に固定できません。
なので事前にスライドスイッチ(SS-17E01)を固定する場所の四隅にφ1.5mmのドリルで図5の様に穴を広げておきました。スイッチ取付後基板裏からスイッチ四隅のピンを半田で固定しておくとガッチリ止まります。
配線時には極力抵抗の足をそのまま利用し、図6(裏面)の様に配線しました。

 

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図4:ユニバーサル基盤表面(マーキング後)

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図5:ユニバーサル基盤表面(部品取付後)

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図6:ユニバーサル基盤裏面(部品取付後)

        4.動作確認

この装置?の使い方ですが簡単に説明しておきます。
4.1 抵抗測定方法
Pin1にテスターのプラスPin2にテスターのマイナスを接続しSW2を回路図から見て上側にするとSW1によって選択されたを回路を通る抵抗がテスターによって測定出来ます。
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図7:抵抗測定時の接続図

とりあえずこの装置が正常に配線されているのか確認する為、図9の接続にしてSW1を動かし抵抗を測定してみた結果、表4の通り正常に使えそうです。
またこの回路に5V流したと想定して発生する電力は③式をPについて変形すると、、
R=V^2/P・・・③式
P=V^2/R・・・④式
④式の様になるのでそれぞれ計算した結果(表4)を見ると各抵抗で定格のW数はギリ超えていない様子です。
1.2の注釈でも書いていますがもう少し余裕をもって設計すればよかったです。

 

表4:回路実測抵抗及び5V印加時電力
抵抗公称値 回路抵抗値(R) 5V印加時電力(P=V^2/R)
5.4Ω 4.63W
8.2Ω 8.6Ω 2.91W
13Ω 13.3Ω 1.88W
27Ω 27.2Ω 0.919W
50Ω 51.3Ω 0.487W
100Ω 100.5Ω 0.249W
220Ω 218.0Ω 0.115W

表4より5V印加時の電力は大体各抵抗の定格電力量と同じです。4.3で電圧を測定した際に電圧降下が10%を超えた(4.5Vを下回った)抵抗から一つ高い抵抗の電力が、測定した5V電源の性能と言えます。

 

4.2 電流測定方法
Pin1にテスターのプラスPin3にテスターのマイナスを接続しSW2を回路図から見て下側にするとVCCの電流がテスターを通ってGNDに戻る回路になります。
特に電流は測らなくても4.1で抵抗は分っているので4.3の方法で電圧だけ見ておけば電流は分かります。おまけ機能ですので参考まで。
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図8:電流測定時の接続図

4.3 電圧測定方法
Pin1にテスターのプラスPin2にテスターのマイナスを接続しSW2を回路図から見て上側にするとVCC/GND間の電圧がテスターによって測定出来ます。
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図9:電圧測定時の接続図

参考に218Ωで電圧を測定した状態を図10に、8.6Ωで電圧を測定した状態を図11に、またその他も含めて測定した電圧を表5に示します。

 

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図10:218Ωで電圧測定

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図11:8.6Ωで電圧測定

表5:回路抵抗別電圧測定結果
回路抵抗値(R) 測定電圧(V) 電流(I=V/R) 電力(P=V・I)
5.4Ω 3.475V 559mA 1.94W
8.6Ω 4.071V 473mA 1.93W
13.3Ω 4.635V 348mA 1.61W
27.2Ω 4.967V 183mA 0.91W
51.3Ω 4.984V 97mA 0.48W
100.5Ω 4.996V 50mA 0.25W
218.0Ω 5.019V 23mA 0.12W

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図12:抵抗を下げて行った時の電圧の変化

測定の結果、この5V電源過去の記事で自作したACDCコンバータは1.6W(350mA)迄は5Vを安定して供給出来そうです。

 

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図13:斜め写真1

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図14:斜め写真2

        5.まとめ

従来は抵抗をいちいちつなぎ変えてその都度計算して電源の性能を見ていました。(たまに1/4Wカーボン抵抗を焦がしながら)
今回作製した5V電源評価用抵抗切替機を使うと、ものの10秒位(スライドスイッチをガチャガチャ動かすだけ)で安全に電源の性能を確認出来るようになりました。
出番はあまりないけど凄く便利です!
 
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